日本の第一号、鹿児島県でストリートピアノの設置を実現された、
鹿児島まち自慢快発考舎の代表 大坪 徹氏に、お話を伺いました。
インタビュー:2013年2月某日 参考:鹿児島市中央一番街WEBページ
-ストリートピアノを置いて、まちの方々の反応はいかがでしたか?
奇想天外な提案に、商店街・まちの反応は冷ややかでした。
熱意に負けてやらしてみればという反応ですね。ピアノはほとんど黒、たまに白のイメージ があります。
初めて、斬新なデザインで鮮やかにペイントされたストリートピアノを見て、
一瞬立ち止まり、「えっ!、何!、何!」という感嘆の声があがったり、驚きの表情をされました。
最初の2台のピアノのデザインは専門学校にお願いしました。
平面にデザイン、ペイント・デコレーションの経験はあるけど、
立体、そしてピアノにペイント・ デコレーションするのは初めてで、
完成した喜びと感動、そして、自分たちがペイント・デコレーションしたピアノを
お披露目式の記念演奏会でピアニストに弾いてもらえたこと、いろんな人にピアノを弾いてもらえることに感動したようです。
ペイントされたピアノは、世界に一台しかないとても貴重な「作品」です。
ペイントした学生たちの一生の思い出になり、友人・知人・ 学生たちの家族にとっても一生語り継がれていくものと思います。
そういった子どもたちの姿を見て感動している私がいます。
ストリートピアノを、教育的ツールとしても考えていきたいと思います。
ストリートピアノは、商店街・地域再生(振興・活性化)の
一手法としては斬新な発想だと思っていました。
商店街に常設(設置)したものの、
外国人は開放的でピアノを楽しんでいるイメージがありますが、
日本人、特に鹿児島の人は構えてしまって、
ピアノを楽しむ人がいるのだろうかと一抹の不安が脳裏を走りました。
中にはペイントをするなんぞ「邪道」だと言う方もいました。
・・・が、商店街への来訪者、商店街近隣にお住まいの方、
若いころ弾いていたであろうおじいちゃん、買い物ついでにお子さんと一緒に弾くお母さん、
コンサート、演奏会の練習に来るアマ・プロの演奏者、ピアノ教室の発表会の練習、ジャズなどのコンサート・・・など、
楽しんでいただいていることにありがたく思っています。
商店街の雰囲気、イメージも変わってきました。
-ストリートピアノの管理はどのように行っていますか?
寄贈者宅から古いアップライトピアノの運搬・修理・調律、
贈呈式までの経費は、鹿児島まち自慢快発考舎・ストリートピアノプロジェクトで負担します。
贈呈式後、ペイント作業の経費、運搬・調律と、お披露目式までの経費は商店街・集客施設等が負担、
そして管理・運営をしていただいています。
寄贈されるピアノは、ご家族の大事な思い出が詰まっています。
しっかりと管理をして、安心して任せられる商店街に贈呈します。
鹿児島まち自慢快発考舎・ストリートピアノプロジェクトは
「ピアノ寄贈者と商店街等の間をとり持つ」という重要な役割があります。
-ストリートピアノは、どういう場所に設置されたのでしょうか?
九州新幹線の終着・始発駅である鹿児島中央駅の隣接にある鹿児島中央駅一番街商店街を皮切りに・・・
鹿児島県の中央部の「霧島市こくぶパークプラザ」、
大隅半島の中心市街地「鹿屋市リナシティかのや」、
大手町北田商店街、東シナ海に面する枕崎市「お魚センター」、
鹿児島空港空港ビル3階レストランと展望台入口(常設)・・・など、
たくさんの人が利用する施設・商店街に置けることになりました。
霧島市国分パークプラザは24時間ストリートピアノを弾けます。
夜9時を過ぎると照明が薄暗くなり、譜面を見て弾ける状態ではありませんが、
ヘッドライトで照らし楽しんでいる人たちもいます。
また、宮城県南三陸町さんさん商店街は、復興をになう地元30店の事業でオープンした仮設商店街です。
現在、4市1町、商店街4ヶ所、公的集客施設等が3ヶ所、8台のストリートピアノを設置していただき、
様々なイベント・催しにも活用していただいています。今年度は3ヶ所、3台設置する予定です。
-印象に残っているエピソード・出来事は?
宮城県南三陸町の、さんさん商店街へ、
ストリートピアノを贈呈できたことですね。
2012年の3月11日14時46分、「ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニー」というイベントを
鹿児島県内3ヶ所同時に行い、募金活動もしました。その後も、募金だけではなく、ストリートピアノを
贈ろうと機運が高まり、秋には実行委員会が発足されました。
そして、2013年3月11日、
南三陸町さんさん商店街で贈呈式、除幕、お披露目・記念演奏会を執り行うことができました。
被災地からの要望があれば段階的に贈る予定です。
-今後の目標は?
鹿児島県内に10台、もしくは10ヵ所の目標です。
鹿児島県本土の8割の商店街等に提案にお伺いしました。
常設(設置)していただいている商店街は、どうにかして
「商店街の再生を図りたい」と真摯に危機感を持っていらしゃいます。
常設まで平均、約6カ月から8ヶ月ですが、
商店街理事の皆さんの合意形成を図るまでが時間がかかります。
合意形成されたら、贈呈式、ペイント作業、
お披露目、記念演奏会とスムーズにいきます。
また、これまで私は音楽関係には疎く、演奏者たちとのネットワークもありませんでした。
最初のピアノ2台を探すのも少し難儀しましたが、鹿児島まち自慢快発考舎、ストリートピアノプロジェクトの
メンバーをはじめ、常設していただいた商店街、集客施設の方々、イベント・催しでお手伝いしてくださるサポーターの方、
応援者の方々の心温まるご協力・ご支援のお陰で、ピアノの寄贈者が徐々に増え、
2013年4月現在では、11台のアップライトピアノが嫁ぎ先を待っている状況です。
鹿屋市と枕崎市、8月以降常設予定の志布志市・指宿市は地元にピアノ寄贈者が現れ、
そして、ピアノ専門、ピアニストなど演奏家などの協力も得られています。
また、地方では小・中・高の学校統廃合が進んでいます。
どの学校にも、グランドピアノや、アップライトピアノがあります。そのピアノたちの行方が気になっています。
◆「Play Me,I'm Yours」考案者、ルーク・ジェラム氏へのインタビュー (一部引用)
引用元:
http://www.youtube.com/watch?v=6z2eEHORhXI
−このプロジェクトのきっかけは?
「ストリートピアノは皆のものであり、皆が創造性を発揮する場にしたかったんだ」
「バス停で毎週同じ顔を見かけても、お互い誰もしゃべらないだろう?
だから僕は、ピアノを置いて、人と人がお互いに話し出す場を作り出すことに、興味があった。」
−なぜピアノを選んだのですか?
「ピアノのいいところは、誰でも音程を探して弾くのが簡単なこと。バイオリンなどでは難しい。
ピアノは万能で、何を弾くにも避けがたい存在だね。」
−ピアノの設置場所は?
「街や公園に置くことで、
普段は芸術や文化に関心が無い人や、音楽にあまりふれる機会の無い人など、様々な多くの人もが触れられるようにしたかったんだ。
例えばここ、ソーホースクエア広場は、いつも沢山のひとが集まるので、一般向けのイベントに向いているということで選んだんだ。」
−これらのピアノはどこから?
「ピアノ運送会社が中古ピアノを寄付してくれたので、実際のコストは輸送費と調律代。」
「イギリスでは1930年代には、今のテレビのようにどこの家庭にもピアノがあった。
今は、余ったピアノが廃棄されてしまっているんだ。」
−ピアノのデザインも素敵ですね。
「地元のアーティスト達が描いたんだ。
例えばこのピアノには心臓の絵が描いてあるけど、すぐこの側が病院だからね。
大英図書館の前の憩いの広場には、文字をデザインしたピアノもあるよ。」